外資系ITベンダーに新卒で入るメリット・デメリットについて

新卒としてITベンダーに入社してから約7年経った今、新卒で外資系ITベンダーに入るメリットとデメリットについて私なりの考えをまとめたいと思います。

注意

本記事書かれている内容は私の個人的な経験に基づく見解であり、全ての外資系ITベンダーに当てはまらない可能性が高いです。あくまで、一個人の意見として参考にしてください。

外資系ITベンダーとは

本題に入る前に、今回私が勤めている企業である「外資系ITベンダー」とはどういった会社のことを指すか認識を共有したいと思います。

この記事では外資系ITベンダーを、「本社が海外にあり、日本に製品を売るための支社があるハードまたはソフトウェアベンダー」とします。例を挙げると、CiscoやOracleなどです。これらの会社は、日本で製品を売る際にはSIerと呼ばれるパートナーを通してとなるため、CTCなどのサイトで扱っているベンダーを見るとどういった会社があるかわかります。

日本支社の役割と役職について

外資系ITベンダーの名前を聞くとよく思い浮かぶのは、ソフトウェアエンジニアなどの職種ではないでしょうか?日本支社にもソフトウェアエンジニアをやっている人はいますが、基本的には少数です。多くの場合、開発拠点を本社のアメリカ、中国、インドなどに構えており、日本は開発拠点ではないことが多々あります。

どういった職種があるのかは、各会社の募集ページでみてください。

ここで日本で募集中の職種を見るとどういった職種が日本にあるかわかります。そして、大体の職種がプリセールス、ポストセールス、管理職のどれかになります。

プリセールス

プリセールスとは、製品を売る前のことを指し、本記事では製品を売ることを目的とした職種のことを指します。例として営業(アカウントマネージャー)、技術営業(システムエンジニア/SE)のことです。

年間でどれだけ製品を売るかの数字を目標に持ち、給料はベースとインセンティブで構成されます。ベースは基本給で成果によらず毎月支払われる部分で、インセンティブは売上や成果で支払われる部分です。それぞれの割合は、営業が5:5、SEが7:3のようになっています。

ポストセールス

ポストセールスは、製品を購入した顧客に対してサービスを提供する職種を指します。例としては、サポートエンジニアや技術コンサルタントになります。

プレセールスの職種と異なり、成果報酬がなく給料はベースとボーナスで構成されます。ベースは同様で、ボーナスは会社の業績や個人の評価に依存します。一般的に給料は安定している代わりに、景気のいい年は営業職から劣っている場合が多いです。

管理職

管理職は、それぞれの部門の管理者でマネージャー、シニアマネージャー、ディレクターという役職になります。管理職の目標や業務はポジショニンにより様々です。営業のマネージャであれば、チームとしての目標の責任を負いますし、サポートであれば顧客満足度を維持することが必要です。管理者は、純粋なリソースの管理ではなく、チームとしての目標を達成する責任をおいます。それにより、基本的に管理職の給料は高くなります。

新卒で外資系ITベンダーに入るメリット

本題の、外資系ITベンダーに新卒で入るメリットについて見ていきたいと思います。

注意
ポストセールスの職種として入社した筆者の個人的な見解となります。

メリット1: 充実した教育制度

外資系と聞くと、厳しい文化を想像されるかもしれません。しかし、社内には人を育てる文化や制度がしっかりしています。それこそ、技術の知識がなくても問題ありません。研修も受けずに業務をやれといったことも少ないです。そのため、後天的に取得できる業界の知識や英語を新卒採用で必須としているところは少ないでしょう。

メリット2: 初任給が高い

比較的日本の会社の初任給と比べると高い傾向にあります。マイナビなどを見ていただけるとわかりますが、一年目からインセンティブ(やボーナス)をいれると500万強はもらえます。

ちなみに、初任給が高いからといって他の会社の同期と比べてずっと高水準を維持するわけではありません。

メリット3: 柔軟な働き方

個人的には外資系に勤める一番のメリットだと思います。多くのアメリカの大企業はワークライフバランスを重視しており、本当に柔軟な働き方ができます。以下は、個人的に良いと思った点です。

  • 在宅勤務
  • 最新のPCやスマートフォンの支給
  • フレックス勤務(職種による)
  • 長期の有給休暇

これらの制度が形骸化せず、実際に利用できるのはアメリカなどの文化がベースになっているからでしょう。

メリット4: 成果ベースの昇進・昇給

中途社員も多く、昇進や昇給は成果や個人の評価に依存します。どうしても景気のタイミングに在籍しているといった運の要素もあるものの、結果を出せばその分評価され昇進・昇給に反映されるのは良い点です。入社・退社が常日頃からあるため、正当な報酬を与えないといけないという文化があるためでしょう。

新卒で外資系ITベンダーに入るデメリット

続いて、デメリットについても述べますが、人によってはデメリットにならない点もあると思います。

注意
ポストセールスの職種として入社した筆者の個人的な見解となります。

デメリット1: 昇進・昇給は上司に依存

メリットで記載したように、成果ベースの昇進・昇給と言えば聞こえが良いのですが、評価するのは直属の上司やチームメンバーで最終的な決定権は直属の上司が持ちます。それにより、成果が上司に認識されることが重要です。そのため、昇進・昇給を良くしたいのであれば、上司との関係を良好にしておくは必要です。

デメリット2: 転職が必須

新卒から定年まで外資系に勤務している人は皆無です。つまり、定年までには転職する必要があります。日本の会社でも終身雇用制度が見直されてきている中だと、あまりデメリットでもないかもしれません。

デメリット3: キャリアが絞られる

新卒で入社する前にしっかり認識していただきたい1つ目のデメリットです。

ここでは、キャリアが絞られるという書き方をしましたが、全ての方に当てはまるわけではないのでご注意下さい。
下記の理由からキャリアが絞られてしまうと私は考えています。

  • 外資系で働くメリット(文化や労働環境)になれてしまって、日本の会社で働きたくなくなる
  • 給料が年齢の割に高くなりがちで、年収アップを前提にすると会社や職種の選択肢が減る
  • 外資系ITベンダーにある職種と似たような職種への転職が候補になる。(例としてソフトウェアエンジニアへの転職は何か(給与など)を犠牲にしないとできないことがおおい)

上記の殆どは、残念なことに、メリットが裏目に出てしまうためです。転職の際、やりたいことが今までの業務と異なる場合や、日本の会社に就職したい場合には、環境の変化や年収ダウンを覚悟する必要があります。

デメリット4: 思ったより日本の会社らしい

この点は良い点でもあり、悪い点でもあります。多くの方が日本の会社から転職されているため、日本支社ではいい意味でも悪い意味でも日本の文化が浸透しています。福利厚生なんかも他の日本の会社と劣るところは少ないですし、極端なリストラも少ないです。

ただ、アメリカで働いているエンジニアと全く同じ様に働けるかというとそれはNOです。日本の顧客が求める品質やサービスのため、見えない残業が増えたり、理不尽な対応をしなければいけなかったりします。外資に対して、過度な期待さえ持たなければ大丈夫ですが、あくまで日本支社であることを理解した上で検討をしてください。

また、外資系の日本支社であるため、海外出張はあるものの、年に1、2回です。英語を使ってバリバリ仕事をすると思っている方は気をつけてください。重要なのは日本の顧客に対してビジネスをすることなので、英語は最重要スキルではないことがほとんどです。

まとめ

外資系ITベンダーに新卒で入るメリットとデメリットについてまとめさせていただきました。あくまでも個人的にそう感じている部分なので、他の方から見ると違うと思われる点もあるとおもいます。ただ、外資系の会社に行くか迷っている方が、就職する前と後でギャップが少しでも小さくなればと思い、記事にしました。

社会に出る前は10年や20年という長いスパンのキャリアを思い描くのは難しいと思いますが、会社を選ぶ前に少し時間をとって考えてみてください。ちなみに、私はシニアエンジニアになるまで10年くらいかかると思っていました。しかし、いざ入ってみると4、5年でシニアエンジニアになってしまい、定年まで何するか悩んだことがあります。

本記事が少しでもお役に立てば幸いです。

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